BUTEER

初めてバターを食べた日の衝撃を
今でも鮮明に覚えている。
小学2年生の頃、
友達の家に遊びに行ったら、
遊んでいる途中で
「なんか、お腹空いたね。パン食べる?」と、
彼女が、無造作に、ヤマザキの食パンを
トースターに投げ込み、焼き始めたのを見て
私は、
朝ごはんでもないのに、食パンなんて勝手に食べて、
あとで家の人に怒られないかしら?
と、ヒヤヒヤしたのだけど、
(しかも、食パンを食べたい気分ではなかった)
「あ、おばあちゃんが北海道で
買ってきてくれたやつ、つけよう!」
と、友達が冷蔵庫からバターを取り出し、
「あー、なんか硬くてうまくつけられないー」
と、バターナイフで、こすられて、ぼこぼこになった
食パンを、そのまま手渡された。
全く食べたい気分ではなかったけど、ひと口食べて、
心臓が『ドクン』となったのを覚えている。
なにこれ、なにこれ、なにこれ!!
いつも家でつけてるマーガリンじゃない!!
「ねえ、ねえ、これ何?どこに売ってるの?」
「え?おばあちゃんの北海道のお土産だよ」
「なんていう名前?」
「え? んーBUTEER,?って書いてあるけど・・・」
「外国の?」
「え?日本でしょ。北海道だから。」
興奮のあまり、バターを缶をひっくり返したり、
匂いを嗅いだりして、家に帰ってから母に、
「ママ、バター買って。明日買ってきて」
と頼んだのを覚えている。
でも、当時はまだトランス脂肪酸の存在も
知られておらず、バターはカロリーが高く身体に悪い
というが日本人の常識だった。
いつか、思う存分バターを食べたい。
その想いが叶って、今では冷蔵庫にいつでも
たっぷりバターがストックされている。
と、なんでそんな話を思い出したかと言うと、
ちょうど母が、
「東京駅で行列していて整理券をもらって買った」
という人気スイーツを持ってきてくれて
その名前が
『プレスバターサンド』だった事と、
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今、読んでいる本が
『BUTEER』という題名で、バターがどれだけ、
人間を魅了する食べ物か。
ということが、書かれていて、
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初めてバターに衝撃を受けて日が蘇ったからです。
本の中で
『美味しいバターを食べると、落ちる感じがする』
『舌先から身体が沈んでいくの」
という表現があり、小2の頃、
ヤマザキパンと、トラピスバターで『落ちた』日を
思い出したのでした。