「ふぐって、美味しいと思う?」
と聞かれ、
「そんなに美味しいとは思わない」
と答えるのは、
「美味しいふぐを、食べた事がないのだ」
と思われそうで、(実際そうなのだけど)
なかなか明言しにくいものだ。
ふぐの季節を心待ちにしている日本人は
沢山いるのだから、きっと下関の老舗のふぐなどは、
格段に美味しいのだろう。
行ってみたいな。下関。
と、思いながら横浜でふぐを食べていました。
家族で個室を利用。
刺身、焼き物、揚げもの、鍋。
ふぐは、『コースで味わい尽くすという』
スタイルを考えた人がえらいと思う。
ふぐの唐揚げだけ、ころん と出されても、
鶏のから揚げのほうが旨いぜ。となる。きっと。
刺身だけ出されても、
平目のほうが味があるし、中トロのほうが華があるってもんだ。
でも、ふぐをコースで頂くと、
刺身の淡白な味とコリコリした食感が、次の焼き物の
ふっくらとした身を引き立てるし、その後に続く
揚げもので、コクが加わり、鍋に火がつく頃には、
ひれ酒でほろ酔い気分。
出汁の旨味がたっぷり出た雑炊で締めれば、
「いいねふぐ」
と誰しもが言ってしまうだろう。
スタートから、ゴールまでのストーリーが上手く出来ているのだ。
演出によって、付加価値を高めている高級食材。
食の世界のスターの地位を確立した『ふぐ』を
味わい尽くした週末でした。