旅行に行く前に、
どの服を持っていこうか、とか、
どの靴をはいていこうか、と悩むのと同時に、
「どの本を持っていくか」
と考えるのが、私の習慣になっている。
本なんて、どこで読んでも同じ。
では、ないのである
その土地の空気、気温、音、匂いを想像しながら
本を選ぶのは、旅の前の高揚感を更に高める。
そして、持参した本が、その街並みにぴったりだと、
旅は何倍にも印象深いものになる。
今回の旅の友は、こちら、
『美食礼賛』
フランスの政治家、ブリア・サヴァランが、180年以上前に
書いた本なので、ちょっと古典調なのだが、
解説によると、
『食こそ、精神生活の根源であることを、実証的に説き明かした1冊』
ということになる。
いいじゃないのー
ほんの一部を抜粋すると、
「美味美食を礼賛するのは、特に機知豊かな人たちである。
美味を愛するには、幾多の鑑賞力と判断力がいるのである」
ふむふむ、
美食の国の政治家である哲学者に、そう諭されると、
私のような、ただの食いしん坊も、
面目が立つというものだ
美味しいものは、
味覚、視覚、聴覚、活字、映像、全てで味わいたい。
ビーチで読む推理小説。
高原で読むエッセイ。
言う事を聞かない子供達を、
怒鳴りながら読む恋愛小説というのも、オツなものだ。
旅の目的は、パリのカフェでサガンを読む。
なんていうのは、どう?
ちょっと、ベタすぎて、フィガロの特集っぽいか・・・