松本本箱 

最新のホテルも良いですが、

古い旅館をリノベーションした宿が好きです。

そして、旅先で本を読むのが何より好きです。

 

宿の中にライブラリーを設けるのも流行りですが、

インテリアの要素が強く、

観賞用の位置づけである事が多い中、

この『松本本箱』は本が主役、

「本箱の中に泊まる」がコンセプトです。

 

正直、かなり寂れた感がある、松本の温泉街の

老舗旅館を再生させる所からスタートし、

地域活性化を目指すプロジェクトとして、

『松本本箱』がオープンしました。

 

 

建物は地味なのですが、内側からセンスの

良さが感じられる建物。

 

 

もともと温泉だった場所が、

大きな本棚に囲まれた空間に!!!

お風呂の中で、ごろごろしながら本が読めるの。

 

 

水は出ないけど、お風呂のまま!!

ここは、子供も楽しめる絵本コーナー。

 

 

ボールのお風呂の中で、遊んだり読んだり。

洗面器のライトも可愛い。

 

 

全く読書には向かないと思われる、

こんな場所で本を探すのも、楽しいのです。

 

 

宿泊者は、夜中でも好きな本を、

好きな場所で読む事ができます。

 

 

夜は、ライトがつけられ、

夜の図書館を探検している気分。

 

 

本棚の中に、こんな隠れ家スペースも!

 

 

もちろん、お部屋にも本箱がありました。

コンクリートのモダンなお部屋は、

全て、温泉露天風呂つきです。

 

 

 

 

小さいけど、大浴場(小浴場?)もあり。

温泉街なのに、温泉をメインにするのではなく、

温泉を本箱にしちゃうって発想が凄いのです。

 

「もう温泉だけじゃ人を呼べない」

って決断したプロデュース力が素晴らしい。

 

そして、もうひとつ凄いのは

   食事が美味しい!!

 

 

ダイニングも、世界の料理本に囲まれています。

 

 

今や、「ローカルガストロノミー」に

欠かせない薪料理。

 

 

 

都会で舌の肥えたお客さんが多いから、

『東京以上』を目指さなければ

感動してもらえないというプレッシャーは、

きっとあると思うのです。

 

うわ、もう大変だな、こんな仕事

想像するだけで、胃が痛くなりそうだわ

でも、そんな余計な心配は杞憂でした。

 

 

原木椎茸と鹿のフラン

 

 

猪と熊のパテドカンパーニュ

 

 

信州産小麦と地元野菜のサラダ

 

 

佐久鯉の寿司

 

 

稚鮎のフリット

 

 

じゃが芋のすり流し

 

 

メインは薪で焼いた、安曇野放牧豚。

 

他にも白樺の寒天寄せや、自家製の蕎麦、

花豆を使ったデザートなど。

どれも「ここで食べるからこそ」の料理でした。

 

旅先での食事は、風土、文化、歴史を

感じるものであってほしいと思う要望と、

シェフの技術と心意気が交わって、

完璧なコース料理に表現されていました。

 

ペアリングには、ワインの他、地元シードルや、

クラフトジン、日本酒も入り、抜かりなく

楽しませてくれます。

ノンアルのペアリングも充実していました。

 

本好きはもちろんですが、

普段、あまり本を読む機会がない人も、

是非訪れてほしい宿です。

本屋や図書館で本を探すのとは、ちょっと違った、

新しい出会いのような体験がきっと出来ます。