『マカロン』がどうしてこんなに
日本人に受け入れられ、定着したのか、不思議に思う。
そもそもメレンゲ菓子は、人気のあるジャンルじゃないし、
味も、日本人には「甘すぎる」と感じるはずだ。
フランスの気候では、気にならない甘みも、
日本の湿度だと重く、マカロンと相性が良いとは言えない。
でも、マカロンは今や不動の地位を築いた。
理由はきっと、このルックス
可愛らしくも、ちょっと気取った外見。
パリの気配を纏った小粋なスタイル。
正解がよく分からない味だけど、
「マカロンを好きという、私が好き」
そんな気分にさせるくらいの力を持っている。
マカロンは自信に満ちたスイーツなのだ。
そして、マカロンはお菓子作りの好きな人の心にも
火をつけた。
マカロンを作るのは難しい。
これはもう、お菓子を作った事がない人でも
難易度が想像できる外見らしく、
マカロンを持って行くと、
「え?これ作ったの?マジ?!」と
クッキーとは明かに違う反応をしてくれる。
マカロンが作れる=ガチでお菓子上手
という公式が作られた。
つるんとした外見は、陶器のようになめらかに、
そして、ふちにはレース状の焼きが残らなければいけない。
このギザギザの部分を「ピエ」という。
そして、メレンゲを潰す作業を
「マカロナージュ」という。
そう、作る工程も気取っているのだ。
同じように作ったつもりでも、うまく仕上がらない時もある、
気分屋のお嬢様キャラだけど、そこがまた
作る人を夢中にさせる要因でもある。
そして、意外と難しいのは、色付け。
たとえば、ピンクでもイメージ通りの可愛い色に
仕上げるには、微妙な調整が必要。
よし、可愛い色に仕上がった!
と、にんまりしていると、台所に来た次男が
「これと同じ色」
と、置いていった。
マカロン姫が、むっとしていた。