フランス料理の奥深さを知る上で、欠かせないのが「出汁」の存在です。
繊細で複雑な味わいを生み出すフランス料理において、出汁は料理の土台を築く重要な要素と言えるでしょう。
今回は、フランス料理で用いられる代表的な出汁、「フォン」と「ジュ」に焦点を当て、その違いや特徴、作り方、そして活用方法を解説します。
フォンとジュを使い分けることで、より本格的なフランス料理の世界へと足を踏み入れることができるでしょう。
様々なフォンの種類やジュの種類、そしてそれらを使った簡単なレシピ例もご紹介します。
最後に、フランス料理の技術を学ぶことができる料理教室の情報も掲載していますので、ぜひ最後までお読みください。
フランス料理の基本の出汁・フォンとジュとは何か?
フォンとは?種類と特徴・作り方
フォン(fond)とは、フランス料理においてソースや煮込み料理のベースとして用いられる、濃厚な出汁のことです。
長時間煮込むことで、食材から旨味を最大限に引き出します。
フォンは、使用する食材によって様々な種類があり、それぞれに特徴的な風味を持っています。
1: フォンの種類と特徴
・フォン・ド・ヴォー (Fond de veau)
仔牛の骨や肉から作る茶褐色のフォン。
濃厚でコクがあり、牛肉料理によく合います。
仔牛の骨髄から出る脂分が、独特の風味とコクを与えます。
・フォン・ド・ヴォライユ (Fond de volaille)
鶏の骨や肉から作るフォン。
白濁色で、鶏肉の旨味が凝縮されています。
鶏肉の風味を生かした、繊細な味わいのソース作りに最適です。
・フュメ・ド・ポワソン (Fumet de poisson)
魚の骨や頭から作る白濁色のフォン。
魚介類の繊細な風味を活かしたソースやスープに用いられます。
長時間煮込むと雑味が出やすいため、短時間で仕上げることがポイントです。
・フォン・ド・ジビエ (Fond de gibier)
鹿や猪などのジビエの骨や肉から作る茶褐色のフォン。
野性味あふれる風味は、ジビエ料理に独特の深みを与えます。
臭みが出やすいので、下処理と香味野菜をしっかり使うことが重要です。
・フォン・ド・レギューム (Fond de légumes)
野菜だけから作るフォン。
素材本来の甘みと香りが引き立ち、ベジタリアン料理にも適しています。
様々な野菜を組み合わせて、オリジナルのフォンを作ることも可能です。
2:フォンの作り方
2-1.材料の準備
仔牛の骨(できれば脊髄骨)、香味野菜(セロリ、タマネギ、ニンジン)、ブーケガルニ(タイム、ローリエなど)、水などを用意します。
焼き色をつける: 骨と香味野菜に焼き色をつけます。
オーブンでじっくりと焼くことで、より深いコクと香ばしさを出すことができます。
2-2.煮込む
大きな鍋に焼き色をつけた骨と香味野菜、水、ブーケガルニを入れ、弱火でじっくりと煮込みます。
アクは丁寧に取ります。
2-3.濾す
6~8時間ほど煮込んだら、布巾などで濾して、フォンを取り出します。
ジュとは?種類と特徴・作り方
ジュ(jus)は、肉や魚、野菜などを焼いたり煮込んだ際に出てくる、素材本来の旨味が凝縮された汁のことです。
フォンと比べると、短時間で調理するため、素材の風味をよりダイレクトに味わうことができます。
1: ジュの種類と特徴
・ジュ・ド・ヴォー (Jus de veau)
仔牛のジュ。
仔牛の旨味が凝縮されており、シンプルながらも奥深い味わいです。
・ジュ・ド・ヴォライユ (Jus de volaille)
鶏のジュ。
鶏肉の風味をストレートに感じられる、あっさりとした味わいです。
・ジュ・ド・シャンピニオン (Jus de champignon)
マッシュルームのジュ。
マッシュルームの濃厚な旨味と香りが特徴です。
その他: 魚介類、野菜などからもジュを取ることができます。
2: ジュの作り方
材料の準備: 仔牛の肉、香味野菜(フォンよりも少量)、バター、赤ワインなどを用意します。
焼き色をつける: 仔牛の肉に焼き色をつけます。
煮詰める: 鍋に焼き色をつけた肉、香味野菜、赤ワインを入れ、弱火で煮詰めます。
濾す: 煮詰めた後、濾してジュを取り出します。
フランス料理の出汁の種類を理解して、より本格的な料理に挑戦しよう
様々なフォンの種類とそれぞれの活用例
フォンは、その種類によって様々な料理に活用できます。
例えば、フォン・ド・ヴォーは、濃厚なソースやシチューに、フォン・ド・ヴォライユは、鶏肉の料理や繊細なソースに、フュメ・ド・ポワソンは、魚介類の料理に最適です。
それぞれのフォンの特徴を理解し、料理に合わせて使い分けることが重要です。
様々なジュの種類とそれぞれの活用例
ジュも、フォンと同様に、素材によって様々な活用法があります。
肉料理であれば、その肉のジュを使うことで、より深い風味とコクをプラスすることができます。
魚介類や野菜のジュは、素材本来の風味を活かした、シンプルながらも上品なソース作りに役立ちます。
フォンとジュを使った簡単レシピ例
ここでは、フォンとジュを使った簡単なレシピ例を2つご紹介します。
1: フォンを使った簡単クリームソース
材料: フォン・ド・ヴォー 100ml、生クリーム 100ml、バター 10g、塩コショウ 少々
作り方: 鍋にバターを溶かし、フォン・ド・ヴォーを加えて温めます。
生クリームを加え、弱火でとろみがつくまで煮詰めます。
塩コショウで味を調えます。
2: ジュを使った簡単ソース
材料: ジュ・ド・ヴォライユ 100ml、バター 10g、レモン汁 少々、塩コショウ 少々
作り方: 鍋にバターを溶かし、ジュ・ド・ヴォライユを加えて温めます。
レモン汁を加え、塩コショウで味を調えます。
まとめ
今回は、フランス料理における代表的な出汁であるフォンとジュについて、その違いや特徴、作り方、そして活用方法を解説しました。
フォンとジュは、フランス料理の基礎となる重要な要素であり、これらを理解することで、料理の幅が大きく広がるでしょう。
様々な種類のフォンとジュを使い分け、自分だけのオリジナルレシピに挑戦してみてください。
今回ご紹介したレシピ例はあくまで基本的なものなので、ぜひ自分の好みに合わせてアレンジしてみてください。
また、お料理教室ラ・ネージュグラッセでは、フランス料理を基盤にした本格的な料理教室を提供しています。
特にフランス料理に欠かせない「出汁」に注目し、様々な種類の出汁の取り方を学ぶことができます。
フランス料理の繊細な味わいを引き出すためには、適切な出汁の使い方が非常に重要です。
ラ・ネージュグラッセでは、その技術を実践的に学びながら、より深い料理の世界に触れることができます。